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最古の民家・箱木千年家 [建築、住宅、街並]

箱木家は日本に現存する最古の民家と言われている。室町時代、14世紀まで遡る可能性もあるそうだ。
江戸時代、既に飛びぬけて古い家として知られ、千年家の名で呼ばれてきた。
場所は兵庫の山奥、電車を何回も乗り換えてバスに乗って、えらく不便なところ。

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障子も畳もない。治安の悪い頃だから窓も少なく暗い。軒はえらく低く、屈まないと入れない。けれど当時としては立派な造りで、豪農の家だったそうだ。庶民はまだ竪穴式住居やバラックみたいな家に住んでいたという。
広い土間にうまや、ちょうな仕上げの広間、台所、納戸。それだけ。
こんな家が、その後の日本の民家の原点になった。

屋根の形、低い軒をみていると、竪穴式住居の面影を残しているように見えてくる。
今日、和風と呼ばれている障子、畳といった要素は江戸時代以降の数奇屋。
日本的なものというのは、実はもっと幅広い、と、こんな家を見ていると思えてくる。
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タグ:古民家 再生

バンブーオルガン裏話 [ESSAY&STORIES]

一時期、海外を旅して写真や文を雑誌などに持ち込みしていた。
学生の時から「竹」をテーマにしていて、竹を切り口にして自然と人の関わりや、違った切り口の世界の見方を探っていた。

フィリピンのバンブーオルガンは、竹に詳しい人の間では割と知られているし、オルガン演奏者でも聞いたことがあるという人がいた。日本でも知る人ぞ知るというところだろう。

フィリピンで、人と話す度に、バンブーオルガンを知っているかと訊ねてみた。
マニラの若者であれ離れ島の住人であれ、知らない、と答えた人は一人もいなかった。当たり前だ、何言ってんだ?とけげんな顔する人もいた。
日本の文化遺産に例えれば、何といえばいいか。
奈良の大仏、あるいは東京タワー、という感じだろうか。フィリピンでバンブーオルガンはそれほど有名、かつ生きた文化財として親しまれている。

戦争中にバンブーオルガンを日本人が直した、という話は日本でも本の中でちらりと読んだことがあった。フィリピンでもわりと知られている話らしい。
教会で売られている冊子では、J.TOKUGAWAとある。

帰国後、この人が誰か調べた。国会図書館であらゆる方面で調べたが、分からない。
当時尾張徳川家の義親という人がいて、今も財団法人徳川黎明会というのがある。
意を決してそこに電話して聞いてみた。訳もなくしゃっちょこばってしまう。
訳を話すと電話の相手は興味を持ってくれて、現当主に聞いてみてくれた。

義親氏かどうかはわからないが、当時紀州徳川家に頼貞という人がいて、フィリピンに行っていたらしい、和歌山市図書館に聞けばわかるかもしれないと教えてくれた。
和歌山市図書館の人が、「頼貞随想」という本からバンブーオルガン修理に関する文を見つけてくれて、やっと修理の主がわかったというわけだ。

二流、三流の文化人であれば、我が国、自分がやったとばかりに菊の紋章や家紋を掲げたりするかもしれない。
頼貞氏にはそんな気配は微塵もなく、このような文化財は自国(フィリピン)の人が守ってこそ意味がある、という。
頼貞氏の他のエピソードもいずれ紹介しようと思うが、こんな戦乱の時代にも真の文化人といえる人はいたのだ。翻って今、政治家の中に真の文化人と呼べる人はまるで見当たらない。

後になって、頼貞氏は晩年、芸大に近い谷中に住んでいたと聞いた。奏楽堂のオルガンといい、微かに袖を触れ合う程の縁を感じた。

この頃までに何社か雑誌編集部と話をしていて、この内容でいけるかな、と持ち込んだのが芸術新潮だった。
いきなり高嶺の花かな、とも思えたが、大衆誌は大衆的な内容でなければ載せらないわけで、それはそれで難しい。
ここ、と思ったところに臆せず行ってしまうほうがいいと思った。

副編集長は、内容を好意的に捉えてくれて、ざっと書いてみることになった。
担当者は、こんな感じで書いてもらえるとありがたいです、と言ってくれたが、でもここはもうちょっとこう・・・と直される。だが他人の手が入るとどうもリズムが違ってしまうので、その部分を新たに書き直す。この繰り返しが4、5回。

スペインや日本がフィリピンと関わったのはもちろんいいことばかりではない。そのあたりをどう書くかが一番悩んだところだった。
『スペインの影響には複雑な思いもあるが・・・』
というようなことを書いたら、
「複雑な思いをしているのは日本人のあなたでしょう。フィリピン人の気持ちは本当にはわからないはずだ」と突っ込まれた。
それはそうだ。日記や身内など少人数に向けて書くことと、このようなメジャーな場、読者がお金出して買う雑誌で書くことは違う。プロの世界、ひとりよがりな書き方は許されない。

最後に思い至ったのは、歴史というものはいくら書いても書き尽くせるものではない。ましてこの短い文の中では。それにこれを読むのは芸術新潮読者。中、高校生じゃない。スペインや日本のフィリピンとの歴史は知っているだろう、ということ。
多少の誤解は仕方ない、と後半、歴史に関わる部分をばっさり切り捨て、短い文で後半をまとめた。
「いいと思います」と担当者。掲載となった。
載ったのは20世紀最後の号で、芸術新潮創刊50周年特集。タイトルは「最後の遺書」。編集部の意図があったのかどうかは知らない。

しばらくして、文藝春秋から年間ベストエッセイ集に掲載したい、との手紙がきた。
若手、アマチュアのエッセイ集かと思いきや、他の人は川上弘美、藤原伊織、野坂昭如、落合恵子、阿川弘之・・・
おいおい、名のある作家やエッセイストがぞろぞろ。いずれも肩の凝らない文で味のある話を書いている。
いきなり舞台に引っ張り出された格好だったが、それで気付くところも大、だった。
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富士山須走口五合目 [旅ばなし]

富士山は山登りばかりではもったいない。
五合目まででも、下界とは別世界の空気を味わえる。
去年の夏に須走口五合目とその周辺の小富士に行き、秋は綺麗だろうと思っていた。
10月12日は、一足先に秋真っ盛りの富士を楽しんできた。
須走口は鎌倉からも行きやすく、人も少ないのでのんびりできる。
御殿場から富士山に、カラマツの道をくねくね登れば雲の上だ。
まだ全面紅葉とはいかないが、ナナカマド、ダケカンバ、カラマツなどが色づいている。
霧がでたり晴れたり。もうすぐ山小屋も閉まって富士山は冬支度になる。
往路で足柄峠を越え、富士山の後は御殿場アウトレット、帰りがけに箱根の雲遊天山で一風呂浴びて帰る。
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幼虫から蛹へ [日常雑記]

数日前から、大きな青虫が窓のところでじっとしていた。

おととい見たら、糸で自分の身体を窓枠に固定し、蛹の準備。(左)
昨日見たら、見事に色が変わって蛹になってた。(右)
これなら鳥も虫だと気付くまい。
不思議なものだな。

しかし、なんでまたこんなところで冬越すことにしたんだろう。
人の周りというのは、小動物にとっては鳥などの外敵が来ない安全なところなんだろうか。
春までに何かの拍子でぶつけたりしてはいけないから、どこかに移してやろうか、蛹君。
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江戸時代の青「くらわんか」 [日常雑記]

西御門サローネで骨董市を企画したいと思っていて、その関係で最近骨董市を見て歩くことが多い。
骨董好きというわけでもないが、欲しいものが見つかってしまうのが困ったものだ。
時を経て風合いが出たもの、100年以上前から人々が使ってきて、今なお人を引きつけるのは何故だろう、と手に取る。

先日、鎌倉宮の骨董市で買った皿。
江戸時代末期のものらしい。このくすんだ青が幕末の染付の特徴だという。
染付だがぼてっと柔らかい。磁器というより陶器の触感。
まあ焼きが甘いのだろうが、これはこれで温かみがあって気に入った。
傷があるのでなんと500円。気に入ったからいいのだ。

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この手の器を「くらわんか」というらしい。
今の関東で言えば、「食えねえか」というところか。
江戸時代、大阪の淀川を行き来する舟に近寄っては「くらわんか、くらわんか」と挑発的に呼んでは食べ物を売りつける舟が多数あって、枚方あたりの名物だったそうだ。
ここで使われる食器は、船上で乱暴に扱われるから丈夫に出来ていた。
それでこの手の器を「くらわんか」と呼んだりするそうだ。

実際この皿、特に底の部分がえらく分厚い。
それでなかなか割れないから、100年以上経った今の世にもしぶとく生き残ってるんだろう。
そのうち金継ぎでもやって傷を直してみようか。


この「くらわんか」の風景を描いたのが、歌川広重の「淀川」。
大きな船の客から、小舟の男が銭を受け取っている。腰は低いが突き出した腕はぶっきらぼう。
皿に食べ物をよそっている女。
まさにくらわんか舟の風景だ。
皿の藍と絵の藍が重なる。
この国には藍色の風が流れている・・・と、異人たちが表現したように、昔の日本の青い風が吹いてくるようだ。

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タグ:骨董市

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